にんじんの出自について
じゃなくて、やんばるの「むい自然農園」からやさいが届きました。
これはにんじん。
にんじんを見て10回に3回ぐらい思い出すできごとがあります。
幼稚園に行くか行かないかぐらいのとき、住んでいたアパートの駐車場同年代の子供たちでつるんで遊んでいた仲間の中に、いつも、片手に持ったにんじんをかじりながら自転車をこいでいる2,3歳年上の女の子がいました。
「超かっこいい!」
にんじんが嫌いで、生なんてもってのほかで、自転車もコロ付きで、そのうえ片手運転なんて問題外だった私にとってはかなり衝撃的で、いつも羨望のまなざしで見つめていました。
そのにんじんがとってもおいしそうに見えたので、誰もいないアパートの裏側で、ためしに、コロ付きの自転車に乗って、家の冷蔵庫から盗んだにんじんをかじってみました。
やっぱりまずい。苦いくせに甘い、あの味が。
大人になることは、こういうことなのか、まずいものを平気な顔して食べることなのかと、当たらずといえども遠からずな将来を思い浮かべた出来事でした。
でも、あのころから二十数年たち、にんじんを平気な顔して食べられるようになった私はおもうのです。
にんじんはもともとまずくない。
「まずいにんじん」を食べさせられていたんじゃないか。
いつの世も、子供が嫌いな野菜ワーストワンをピーマンと争っているにんじんくんですが、
ほんとはね、にんじんはとても素直で正直な野菜なんです。
最も「育ち」が味に影響する野菜なんだと思うんです。「育ちがよさそう」とかって、人間にも使うあれです
おいしいにんじんを食べると、きっと辛いこともたくさんあっただろうけど、農薬で甘やかされずに、おおらかな畑ですくすく育ったんだろうなあと思ってしまいます。
甘いだけでも、苦いだけでもだめ。あの独特な味も強すぎても弱すぎてもだめ。
このやんばるから来たにんじんくんも、規格外の小ささですが、今朝すりおろしてパスタにして食べたらかなりうまかったです。
(実家ではパスタが出るのはほとんど朝ごはんだったので、長い間パスタは朝食べるものだと思っていて、それがまだ抜けません。長い言い訳でごめんなさい)
ほら、白ネギとか、きゃべつなんて、けっこう勢いでごまかせるような気がしませんか?
なんだか申し訳ないけど。