宝石いも | あなたの酸素ボンベになりたい

宝石いも

私は絵が下手です。


もう、絵に関するセンスが気の毒なくらいないんですよ。


小中学校を通して美術の時間が嫌いだったし、写生大会はいかにサボるかということを常に考えていました。


下手だけどなんか味がある絵を描く人とか、あまりに下手すぎて周りを笑わせてくれる人がいるけど、そんなのでもない。



下手かつ、つまらない絵を描くのです。




でもね、過去に一度だけ、ものすごくいい絵を描いたことがあります。

自分でもあれは素晴らしい絵だった、と思うし、周りからも十分な評価が与えられました。





確か小学校4年生の頃だったと思います。


遠足かなんかでサツマイモ堀りに行ったときのことを描いた絵です。


さつまいもをまさに土から掘り出さんとしているその瞬間を、小学校4年生の私は画用紙いっぱいに書いていました。


そしてその絵は、市が市内の小学校にむけて月いちで出している「おしらせ」の表紙に載り、校長室前に飾られました。


私は小学校4年生のころの記憶なんてほとんどないけど、その絵を描いたときのことははっきり、鮮明に覚えています。


なんの迷いもなく鉛筆を動かし、頭の中では描くものがもうすでにできあがっていました。




それは、サツマイモがびっくりするくらい紫色だったからです。


そして、サツマイモの紫色にびっくりしたからです。


土から出てきたばかりの細かい砂の粒が付いたサツマイモは、夏の太陽の光を反射して目が痛くなるくらいまぶしく光っていた。それは宝石いもとも呼べるシロモノでした。


あんなにきれいな紫色は後にも先にも見ていないと思います。


だから、その絵の中の私はほんとに「イモを見て驚いた顔」をしていました。






あ、オチはないよ。ただふと思い出しただけです。


「「・・・だから、どうなんだ」「それがどうしたの?」というようなエピソードが、実はしばしばあなたのその後の人間関係やものの考え方感じ方を決定づけた経験だったりするのです。

・・・どうしてそのことを今まで忘れていたのか、その理由がわからない過去のエピソード。どうしてそのことをたまたま今思い出したのか、その理由がわからない出来事。それこそあなたが何者であるかをあなたに教えてくれる鍵なのです」


ほら、内田樹大先生もこう言っているよ。


ていうか、今自分で書いてて気づいたけど、ほんとに私という人間をよくあらわしてるエピソードじゃん。



・・・・




あー眠いから頭が変になってきちゃったんだなぁ。

卒論ようやっと6枚目。


そうそう、今日禁煙本を読んですっぱりノンスモーカーに生まれ変わりました。