あかぎと私 | あなたの酸素ボンベになりたい

あかぎと私

私の第二のホームタウン国分寺には知る人ぞ知る「アカギ」という大盛り定食屋があります。

私の学生生活はアカギとともにあったと言っても過言ではありません。

体重が高校時代から+7キロという驚愕の事実は、この店なくしてはありえなかったことです。


初めて行ったのは大学1年生の時。赤ちょうちんに、薄汚い店内。客をも恐れさせるおばちゃん。ごはんも、サラダも、おかずも、味噌汁も、客の男女の差なく全部大盛り。そんな夢のような店に魅了され、多いときは週に3回通い、付き合っていた人とがらがらの店内でクリスマスを過ごしたこともあります。

うっかり行ってしまった定休日の日曜日を呪い、スタミナ焼肉を注文したのにとんかつを出されても「いいんです、これ食べるんで」と笑顔で対応したこともありました。


最近はめっきり足が遠のき、久しぶりに行ったときには新メニューが登場し、店員の大幅なメンバーチェンジが行われ、確実に時はながれているのだということを痛感させられたわけです。


気になったのは、女性客に対してごはんの量を聞いてきたことです。私が通い始めた当時からいる、アルバイトのスタメン以外は聞いてきます。これには正直がっかりさせられました。確かに、あのごはんの量は少し多すぎるかもしれない。女性客のほとんどがごはんを残してしまうという事実も少なからずあったということも想像がつきます。

しかし、「男も女も同じ量を食え、食えなきゃ来るな」といういさぎよさがアカギの魅力だったはずですし、少なくとも私はそれを愛していました。


会社の最終面接で一緒のグループになった人たちと行ったとんかつ屋で、男女のごはんの量に最初から差をつけてきたことに文句を言ったエピソードを持っていますが、内定式の日、久しぶりに会った同じグループだった男の子に「あれはないと思った」と言われました。

あかぎだったらそんなことを言われることもなかったのに、と意味不明な悔しさを感じたこともあります。


女同士ならまだしも、男の人とごはんを食べに行って「ごはん大盛りで」と言いたいけど言えない、大食い女のつらさを考えたことがあるでしょうか?その面倒かつ恥ずかしい行為をしなくていいという心地のよさ。そこがよかったのです。



タイトルから少々逸れてしましました。本当はもっと違うことを書こうと思っていましたが、書いてしまったものはしょうがない。

アカギにはここらで原点に立ち戻り、自分の店のアイデンティティを考えていただきたいと願ってやみません。